社会では土地狂乱の中、繊維会社のあるこの古い小さなビルも時代に取り残されながら動こうとしていた。
このビルはそれでいて味があり”かわいい”顔をしている。そろそろ化粧も直してあげて、
コーヒーでもいれてあげたいという施主の希望である。
その事務所にある繊維製品が無造作に置かれてあった傷だらけの古いテーブルは、
桜の垢(ムク)材の立派なものであった。ビルにもテーブルにも船場の商人(あきんど)としては、
古き良きものを残しておきたいという気持ちが根ずいているのかもしれない。
このカフェに和と素材の美しさを取り入れたのは、日本人が持っている古き良きものを
表現したいという思いからである。
もちろん、古いサクラのテーブルは再成されている。